テクニカルレポート

2017/03/17 / テクニカルレポート

はんだ実装業界と環境問題

〜産業機器用実装基板の洗浄復活〜

ソルダーソリューション(株)  山下 茂樹 氏

 

はじめに

『実装:はんだ付け』とは、部品及び銅パッド表面の金属酸化膜をフラックス中の活性剤で除去した金属表面に溶融状態のはんだを接触させ、拡散反応による、すず—銅の金属間化合物を形成させることである。この金属間化合物は極めて薄く、はんだ接合部で機械的応力を受けてはならない。

一方、はんだ実装を取り巻く環境はこの十数年で大きく変化し、対応しなければならない環境問題が相次いで出現した。私達はその都度これらの課題をクリアしてきたが、その結果、現在の実装基板製造技術は『実装設備』と『はんだ合金』を組み合わせただけでは信頼性の高い実装基板を生産できなくなった。実装条件が適正範囲から少しでも逸脱すると、不具合を出してしまう不安定性を含んでいることを私たちは知っておかなければならない。ましてや、『鉛フリーはんだ実装技術』が『共晶はんだ実装技術』の延長上として処理できるとの考え方はありえない。

実装技術における環境対策

地球規模での環境問題がクローズアップされ、これまでの技術的合理性だけで選択してきた部材、材料を変更せざるを得ない事態が発生した。実装関連でも多くの環境問題に対応してきた結果、『はんだぬれ性』は従来のSn−Pb系共晶はんだ合金よりもはるかに低下した。このことは『はんだ実装技術』にとって、重要な意味をもっている。

1.フロン規制対策(実装基板の無洗浄化)
これまで、部品及び銅パッド上の金属酸化膜を除く手段として、活性力の強いフッ素イオンや塩素イオンのような『無機ハロゲン』を活性剤として用いてきた。その代わり、活性剤による腐食で接合信頼性を低下させないため、実装基板上に残ったフラックスはフロンで洗浄してきた。実装基板の洗浄溶剤としてフロンが使用されてきた背景としては、

 ①沸点が40〜50℃の液体で沸騰浴での蒸気洗浄に適している
 ②表面張力が低く極めて細かい隙間でも浸透する
 ③容易に気化するので洗浄後の乾燥が簡単である
 ④化学的に安定で人に対して無害である
 ⑤油は溶かすがプラスチックを溶かすほど強すぎる溶解性をもっていないことが上げられる。

図1 塩素によるオゾンの破壊反応

ところがフロン自身は安定だが、成層圏では紫外線で分解され塩素原子を生成する。この塩素原子が、図1に示すようにオゾン層を破壊(オゾン層破壊係数)するだけでなく、地球温暖化(地球温暖化係数)の原因物質であることが判明したため、フロンの製造及び使用が厳しく制限されることになった。家電業界ではいち早く実装後の基板を洗浄しない『基板の無洗浄化』を導入することとなった。実装後の基板を洗浄しないためには、基板上に残ったフラックスが腐食の原因物質とならない程度まで、活性力を低下させなければならなくなった。このことは一方で、金属酸化膜を除く能力が低下し、実装条件の設定範囲(特に活性剤が機能する温度)が狭まることになり、ぬれ性の低下を引き起こすことになった。家電製品よりもはるかに長期信頼性を要求される産業機器用実装基板に対して『無洗浄化』を導入する際には、最善の注意を払わなくてはいけなくなった。

フロンはフッ素、塩素、水素、炭素から構成される化合物であり、クロロフルオロカーボン類(CFC)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)などがある。フロンは理想的な化学物質と呼ばれ、①毒性がなく、②不燃性であり、③爆発性がない、④熱の吸収・放熱性にすぐれているなどの性質をもっているため、洗浄溶剤、エアゾール噴射剤、冷却冷媒、発泡剤と幅広い産業界に大量に使用され、その内、洗浄用溶剤としての使用量がもっとも多かった。業界によっては、オゾン破壊係数に小さな代替フロンに切り替えているものもあるが、逆に地球温暖化係数(表1)が大きく新たな配慮が必要となっている。

表1 フロンの性質(オゾン破壊、温暖化係数)

 

 

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