テクニカルレポート

2018/10/26 / テクニカルレポート

IoT実現に欠かせない電子部品

〜「センサ」〜

NPO法人 サーキットネットワーク  梶田 栄 氏

 

 以下、磁気センサのいくつかについて述べる。

 

(1) 磁気抵抗効果

 トムソン氏が発見した物質の性質で、ある特定の物質では磁気が印加されると抵抗値が変化する性質。この材料を用いて作ったセンサ素子を磁気抵抗素子(Magnetic resistive:MR素子)という。

 磁気抵抗素子のセンサとして使われる材料には、強磁性体薄膜を用いたものと、半導体薄膜を用いたものがあり、特性が大きく異なっている。また、同じ強磁性体の薄膜を用いたMR素子であっても、薄膜構造などが異なるAMR(Anisotropic-Magneto-Resistive : 異方向性磁気抵抗)素子やGMR(Giant Magneto Resistive : 巨大磁気抵抗)素子、TMR(Tunnel Magneto Resistance : トンネル磁気抵抗)素子などがあり、特性が大きく異なっている。特にSMR素子は他のMR素子と磁束の感知方向が異なっているため、実際に使用するときは、十分にセンサの特性を確認しておくことが必要である。

 AMRとは外部磁場によって電気抵抗が変化する現象である。特定の方向からの磁界の強さに応じて、抵抗値が変化する性質を持つ。また、磁場強度が大きいほど、磁場の変化による抵抗の変化が大きくなる。

 GMRは薄膜MR素子を特定方向へ積層したものであり、AMRに比べて非常に大きな磁気抵抗効果をもつ。巨大磁気抵抗効果とは普通の金属の磁気抵抗効果(物質の電気抵抗率が磁場により変化する現象)は数%だが、1nm程度の強磁性薄膜(F層)と非強磁性薄膜(NF層)を重ねた多層膜には数十%以上の磁気抵抗比を示すものがある。このような現象を巨大磁気抵抗効果と呼ぶ。

 TMRは磁気トンネル接合(MTJ)素子において、磁場の印加でトンネル電流が流れて電気抵抗が変化する現象である。MTJのTMR素子は、一般的に酸化アルミニウム(Al2O3)や酸化マグネシウム(MgO)で形成した絶縁体の薄膜層を、2つの強磁性体層で挟み込んだ構造であり、GMR素子と非常に似た積層構造をもっている。低温でのTMR効果は1975年に発見されたが、応用が困難として当時はほとんど注目されなかった。しかし1995年、室温・低磁界で20%近い磁気抵抗変化(当時の最高値)を実現し、TMRは一躍、脚光を浴びることになった。

 

(2) ホール素子

 半導体薄膜などに電流を流し、電流に垂直に磁場をかけると、電流と磁場の両方に直交する方向に起電力が現れる現象をホール効果という。ホール効果によって磁束密度や向きに応じた電圧が出力される。このホール効果を用いて磁場を検出する素子のことを「ホール素子」という。

 ホール素子とはホール効果を利用した磁電変換素子であり、電流が一定であれば印加磁場に応じた起電力を得られる。ホール素子は検出磁場強度に対しリニアな出力を示すので使い勝手が良く安価な磁気センサである。また磁束密度の変化がない静磁場であっても、磁場の有無を検出することができるため、磁石との組み合わせで使う非接触スイッチや、角度センサから電流センサまで、広い用途で使われている。最近は、ホール素子を用いた地磁気センサも実用化され、スマートフォンなどに広く使われるようになってきた。

 

(3) 磁気インピーダンス素子

 1993年に発見されたアモルファス合金ワイヤの磁気インピーダンス効果を応用した素子である。磁気インピーダンス素子(MI : Magneto-Impedance element)はホール素子に比べて感度が高いことから、地磁気センサ(電子コンパス)として開発された。近年では心臓や脳などが発する生体磁気の検出など、用途が広がりつつある。

 

センサからの出力信号

 これまでに述べてきたセンサは、センサの原理とそれらの使用例である。通常センサの出力信号はそのままでは利用することができない。利用できるように変換し、かつ変換された信号を目的に合う形に変換して初めてセンサの目的を達することになる。そのために信号変換デバイスやアクチュエータなどの周辺機器が必要となる。

 センサが本来の目的通りに活用されるために信号変換がある。通常センサ出力は微弱なアナログ信号であり、微弱信号なアナログ信号の出力を高め、次にプロセッサで扱うためには、デジタル信号に変換する必要がある。アナログ信号には通常雑音(ノイズ)があるため、ノイズ除去のため適切なフィルタを挿入する必要がある。また出力された信号はそのままでは役に立たないため、出力デバイスで表示するかアクチュエータで機械的動きに変えるなどの周辺機器が必用となる(図19の「センサと周辺機器」参照)。

 

まとめ

 上記に述べたセンサは広いセンサの世界のごく一部である。センサの課題は、IoT機器の感覚器官をつかさどるためにその種類が多いことと、一種類あたりの数量が少ないということである。したがってこれまでの電子部品が歩んできたような大量生産による恩恵を受けにくいということがある。

 今後、IoTに加えて自動運転車の普及に向けて、よりいっそうセンサの重要性が高まるのは自明の理である。その要求にこたえることができるようなセンサの登場を願ってこの項を閉じることにする。

 

< 参考文献 >

JEITA、2018年までの電子部品技術ロードマップ、
 2009年

⃝JEITA、2020年までの電子部品技術ロードマップ、JEITA、
 2011年

⃝AndTech、「IoT時代のセンサ技術の仕組みと種類・課題、産業界別 用途例、周辺機器・材料動向、将来展望」、
 2018年

会社名:NPO法人 サーキットネットワーク
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