ブックタイトルメカトロニクス6月号2021年

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概要

メカトロニクス6月号2021年

MECHATRONICS 2021.6 11カーなどに協力していただき、分析だけを行っていましたが、現状はすべて当社で行っています。こちらの事業を展開していたことにより、1つの業種に特化することなく、幅広い分野の製造工程を知ることができ、それが我々のノウハウとして蓄積されています。 そして3つ目は、『装置メーカー向けAI組込』の提供になります。機械の開発販売を行う装置メーカーの中には、「AIを自社製品に搭載したいが自社にAI人材がおらず設計や開発が行えない」、「外注は初期費用が大きく取り組めない」といった課題を抱えているところもあるようです。そういった装置メーカー向けに、自社装置へのAI機能実装をノーリスクで始められるAI組み込みソリューションです。 こちらの事業はまだスタートしたばかりで、どちらかというとこれからのビジネスに位置づけされます。現状では、『業種別IoTパッケージ』事業をメインに進めながら、創業時からの『製造工程自動化ソリューション』事業も引き続き行っていくことで徐々に足場を固めていき、『装置メーカー向けAI組込』事業に展開することにより、メーカーとしての第一歩を踏み出していけるのではと考えています。 『業種別IoTパッケージ』の事業で、現在 展開されている製品の概要や特徴など をお聞かせください角屋 : 現在、『業種別IoTパッケージ』として製品化しているのは、切削加工事業者向けの『切削工具状態管理システム』です。本システムは、旋盤やマシニングセンタにかかる、「工具の交換にかかるコストを減らしたい」、「工具の折れやチッピングを自動検知して不良品の排出を防ぎたい」、「工具の利用状況を一元管理分析したい」などといった課題を抱えている、切削加工事業者向けのIoTパッケージになります。 システムの仕組みを簡単に説明すると、始めに旋盤やマシニングセンタの主軸モータにかかる負荷を電流センサで計測していきます。そうすると、どんな製品をどんな工具で加工するかにより、計測した波形はまったく変ってきまし、連続生産していくと工具の摩耗状況や折れた時などで波形の形状が変化していきます。そのような波形の状況をリアルタイムで監視していくことにより、切削工具の状態を把握することができ、先程の課題解決にも貢献していけます。 このようなシステムは他社でも提供を行っていますが、当社では差別化を図るための大きな2つの特徴をもっています。1つ目は、他社のシステムはこのような波形を実際に人が目で見て、工具交換などのしきい値を設定して運用しますが、当社ではAIを用いて分析を行っていくことが特徴です(図1)。AIは設置されているだけで自動的に学習していくので、工具の摩耗度予測や折れなどの異常検知をAIが判断して行えるようになります。 2つ目は、本当に既存の装置に外付けするだけなので、NCなどにも接続する必要がなく、ハードウエアの工事も不要な導入しやいシステムであるということです。複数台導入していただけると工具の一括管理なども実現でき、同一ネットワーク上のPCならどこからでも工具一括監視分析画面の参照が可能になります(図2)。また、子機側では設備個別の状態の参照と工具交換履歴登録が可能です。 現状では、基本的に本システムのみの展開になっていますが、先程もお話ししたように芝浦工業大学と加工技術の共同研究をスタートさせており、これにより我々も技術の向上を目指しながら、新たな製品の開発に取り組んでいます。 今後の展開についてお聞かせください角屋 : まだまだ社歴の浅い会社なので、まずはしっかりと利益を上げることで経営基盤を盤石にしていくことが直近のテーマになっています。それには、『業種別IoTパッケージ』を中心とした事業展開を軌道に乗せることが必要不可欠であり、それに向けた取り組みを推進していきます。 そして、先端技術の開発も進めていきながら、お客様に喜ばれるようなものづくりを行い、工作機械メーカーや射出成形メーカーなどで装置への組み込みの実績を積み上げていくことで、将来的には工作機械業界におけるソフトウエア部品供給メーカーを目指していきます。 また、ものづくりだけでなく、サービスの展開にも注力していきたいと考えています。当社のコアとなるのは製品開発ですが、あまり小さくまとまらず、サービス面でも色々と展開することにより、ビジネスの幅も広がっていくと予想しています。 それから、現状は国内を中心にした展開を行っていますが、徐々に海外にも視野を向けて行きたいと考えています。最近では、国内のメーカーと共同で稼働監視システムの提供なども行っており、当社はそのシステムのソフトウエアを担当しています。そして、そのメーカーがもつ海外の販売網において、営業の方に当社のソフトウエアを案内していただいています。我々としては、そのチャンネルを活かして、海外での展開に繋げていけるようにしていきたいと考えています。 最後に、これからも製造業向けのAIやシステム開発を柱に事業を展開していきますので、製造工程のデジタル化に向けてAIなどの導入を検討されている中、何かお困りのことがございましたら一度ご相談いただければと思っています。 本日はお忙しい中ありがとうございました。所在地 :U R L :事業内容 :東京都台東区https://www.mazin.tech製造工程に特化したAI/IoTシステムの開発・販売。株式会社 MAZIN・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・図2 『切削工具状態管理システム』の構成例図1 『切削工具状態管理システム』のしくみ